3匹の子豚と耐震構造
昔々あるところに…(中略)…というわけで
子豚たちが家を建てました。
一匹目は藁の家、二匹目は木の家、三匹目はレンガの家を建てました。
さてあるとき襲ってきたのはオオカミではなく地震です。
レンガの家に住んでいた子豚はレンガが崩れて死んでしまいました。
藁の家の子豚の家は崩れましたがなんとか助かりました。
それで二匹目の子豚の家に避難しました。
「木の家の弟よ。レンガの家の弟は残念だったな」
「ああ。だが兄者、これでどの家が一番強いか分かっただろ」
「うむ。確かに」
そのころ木の家をオオカミががんがん蹴っていましたが、全然
壊れる気配はございません。
「弟者。この家は頑丈だな」
「ああ。だが、ただ頑丈にすればいいというものでもない」
「なんと」
長い前振りは終わりにしてここから本題に入ろうか。
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世界最古の建築物は石造りの神殿とかだろうけど、法隆寺でも
五重塔でもまあ何でもいいや。
なんか建ってから1400年とか平気で過ぎてるんだけど。
木だぜアレ。
全然崩れる気配ないし。しかも日本って地震国だし。
なんでだろーな?
さて、地震で木が倒れる場合はあるが、樹齢数千年の縄文杉みたいなのも
あること考えると、木自体耐震性を備えているのは間違いない。
で、何でか考えてみる。
もし木が凄く堅かったら、ある一定値の力受けたらべきっと折れる。
木には根っこがあるのでそれも結構重要。
やわらかさと根っこのおかげで倒れずにすんでいる。
木造建築ってのも木の性質によって成り立ってる。
きちんとした耐震構造には土台と左右への力の分散、とが
重要なのも確実だろう。
きちんとした壁や柱の組みあわせが耐震住宅の基本だし。
昔の人もそのことを知っていたのだろうか?
そうでなければこれだけ長く建築物が建っていられることは無い
のではないだろうか?
それともただの偶然なのか…?
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「ところで兄者。」
「何だ弟者」
「この木の家、一個だけ弱点がある」
「大体見当はついたぞ弟者、オチも含めて」
そのころオオカミが火打石を叩いていたのは言うまでも有りません。
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さて、確かに木の家は耐震性が高い。
しかし火災にはあんまり強くないという問題を抱えている。
そりゃそういう素材だし。
ではどうしたもんかというと、耐震構造のための材料は別に木である必要は
無いというように考えてみる。
あくまで耐震、あるいは免震構造が大事なわけだ。
五重塔っていったって、木だから地震に耐えたというわけではないのだ。
平たく言うと五重塔ってのはヤジロベーみたいなもんで、
ゆれてもゆれても倒れないで安定しているわけだ。
だとすると、そういう構造にしたら安定するだろうと。
現在の高層ビルはそういう耐震構造で出来ている。
さらに研究も進んでいるようだ。
ところでこんなビルも問題はある。
揺れるんだよ!特に一番上が!
1階で2分のゆれでも上のほうはその倍は揺れる。
しかもゆれ幅も大きい。中にいたら大変だぞ。
地震でビルは助かったが、中にいた人は死んじゃったじゃあ、
本末転倒もはなはだしい。
まあそういうゆれにも対応した建物も作られつつあるけどね。
じゃあ建物全てコンクリートでいいのか?
コンクリートだって万能でもなんでもないぞ。
耐火耐震住宅という方向性ってのもありじゃないだろうか。
もっとも隕石直撃でも食らったら何やってもムダだけど、
そんなことってそんなに有るわけでもないし。
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「兄者もう終わりだ!」
「耐火構造じゃないのかこの家は」
「わしら、焼き豚じゃあ…」
しかし…オオカミが空を見上げると…巨大な隕石が…。
…全然関係ない話だが三匹の子豚の原作で最後に食われるのはオオカミだそうな。
豚が雑食とはいえ恐ろしすぎるだろ3男。